ABCテレビのメディカルキャリア

お試し勤務から始まる、医療のお仕事の新しいカタチ。

2025/12/19

「頑張るには私生活が整ってこそ」海と山に囲まれた土地で、人が成長する病院

インタビュー総合京都府
京丹後市立弥栄病院
「頑張るには私生活が整ってこそ」海と山に囲まれた土地で、人が成長する病院
看護師向け中型CTAバナー - お試し勤務のご案内病院向け中型CTAバナー - ABCテレビによる医療機関紹介

京丹後市立弥栄病院 山本看護部長が語る、地域とともに歩む看護のかたち

京都府北部、京丹後市。青い海と深い山に囲まれたこの土地に、弥栄病院はある。

人口減少と高齢化、そして看護学校の減少。看護師確保が極めて難しい地域だとされながら、この病院は不思議と温かい空気をまとっている

その中心にいるのが、看護部長の山本氏だ。自然に囲まれた子育てを目的に京丹後市へ移住し、家庭もキャリアも両立しながら歩んできた人物である。

看護師を目指した原点は『手に職』

山本氏の看護師人生は、子どもの頃からの夢ではなかった。

「母に『看護師ならどこでも働けるよ』と言われたのがきっかけでした。近所にも看護師資格でいろんな場所で働く人がいて、そういう姿に憧れたんです」

親に負担をかけたくない気持ちから、働きながら資格が取れる学校を選ぶ。
准看護師と実務経験を経て、五年かけて正看護師へ。

その後、京都市内の病院で内科、精神科、訪問看護、退院支援など幅広い領域を経験する。
結婚と出産を経て、次第に「子どもを育てる環境」を真剣に考えるようになった。

京丹後市立弥栄病院-山本

『海の近くで育てたい』という、まっすぐな願い

都会の団地では、子育てで気を使う場面も多い。
自然の中で、伸び伸び育てたい。
そんな思いで見つけた移住先が、海の近くの京丹後市だった。

ちょうど弥栄病院が療養病棟の増設を控えていた時期だったこともあり、看護師の夫と共に働くことになった。

「土地勘もなく、縁もゆかりもなかったんですが、自然があることに惹かれました。訪問看護で海沿いを走ると、自分の気持ちまで整うんです。患者さんにも優しく向き合えるようになる感覚があって」

在宅と急性期の両方を経験し、管理者の道へ

移住後は在宅医療にも深く関わる。
介護支援専門員、退院支援看護師として、患者の暮らしに寄り添う看護を実践した。

そして2017年、管理室へ異動。
そのころ、一番下の子はまだ保育園児だったという。

「管理者の話が来たときは迷いました。でも当時の看護部長に『小さい子がいても管理者はできるという姿を見せてほしい』と言われたんです。自分が現場で感じていた改善点を形にできるかもしれない、そう思って引き受けました」

2020年に認定看護管理者資格を取得し、2021年から看護部長となった。

『私生活が落ち着くと、仕事はもっと頑張れる』

山本氏が管理者として強く大切にしている価値観がある。

「患者さんの思いを大切にするのはもちろんですが、スタッフが頑張るには私生活が整っていなければいけません」

その考えは、弥栄病院の働き方に色濃く反映されている。

年度初めに一年分の休暇計画

カレンダーを配り、最大七日間の連休を必ず計画する。
コロナ禍でも継続。
若手の中には海外旅行に行く職員もいる。

育児世代への徹底した配慮

育休は三年取得可能。
実際には復帰後の働きやすさが整っているため、 一年程度で戻る人が多い。
出勤時間の調整、夜勤回数の最小化など柔軟に対応する。

二交代と三交代を選べる勤務形態

月2回だけ二交代にするなど、個別の事情にも寄り添う。

京丹後市立弥栄病院-後輩と

これらの配慮を全て取り入れようとすると、シフト作成は際限なく複雑になってしまう。

それでも「働きやすさのためなら工夫はいくらでもする」と山本氏は意気込む。

新卒が辞めない理由は『仲間づくり』

弥栄病院は新卒者の年度途中の離職が極めて少ない。

その秘訣を尋ねると、山本氏は笑顔でこう答えた。

「二週間は配属せず、同期だけで過ごすんです。ご飯に行ったり、研修だけしたり、同期で帰ったり。絆ができると、しんどいときに支えになります」

一年目は毎月面談を行い、二年目、三年目にも看護部長が直接話を聞く時間を設ける。
『頑張れないとき』を見逃さないための仕組みだ。

奨学金返済の終了、都会への憧れ、専門施設への興味など理由は様々だが、若手の退職は
三〜五年目に集中する。
これは時代の流れからいっても避けることのできないことだが、年度途中での離職はほとんど起きていないということだ。

京丹後市立弥栄病院-新人
京丹後市立弥栄病院-新人研修BLS

地域全体で看護師を守り、育てる

京都府北部は看護師不足が深刻化している。
地域内で辞めると、ほとんどが都市部へ転出してしまう。

だからこそ、北部の公立病院は互いに連携している。
京丹後市、宮津市、与謝野町など、複数の看護部長が集まり、
京都市内の就職フェアに『北部地域』として共同出展している。

「まずは地域全体の魅力を知ってもらうこと。病院ごとではなく、この地域に来てもらうためです」

山本氏が在宅看護で大切にしてきた
『暮らし全体を見る視点』
が、この取り組みにも息づいている。

患者を家族ごと支えるように、
地域の医療は地域全体で支えるものだという考えだ。

この土地で働く魅力と、未来へのメッセージ

京丹後には、自然との距離の近さがある。
訪問看護で海沿いを走り、休みの日は山へ行き、畑を楽しむ職員も多い。
高速道路も整備され、京都市内へのアクセスも良くなっている。

病院も地域と深くつながっている。
病院祭り、認定看護師や助産師による出前講座、近隣施設との研修。
『顔の見える関係』をつくることが、地域医療の安心につながっている。

そして最後に、看護の世界から離れている人へ、山本氏はこう語った。

「弥栄病院は、生まれてから亡くなるまで、全部に関われる病院です。自然もあって、家族とも暮らしやすくて、都会にも行きやすい。フルで働くのが難しい方でも短時間勤務でも外来だけでも相談できます。まずは見学に来てほしいです」

日々の生活が整うと、看護に向き合う気持ちも整う。
そんな当たり前のことを、弥栄病院は丁寧に大切にしている。

看護師向け中型CTAバナー - お試し勤務のご案内病院向け中型CTAバナー - ABCテレビによる医療機関紹介
山本久美子のプロフィール画像

京丹後市立弥栄病院

山本久美子

山本久美子 先生の関連記事
京丹後市立弥栄病院
京丹後市立弥栄病院の写真
〒627-0111 京都府京丹後市弥栄町溝谷3452−1
総合
京丹後市立弥栄病院の関連記事