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2025/12/19

子育てと仕事の狭間を越えて見つけた看護の続け方。社会医療法人高清会 香芝旭ヶ丘病院 垂門真由美看護部長インタビュー

インタビュー総合奈良県香芝市
香芝旭ヶ丘病院
子育てと仕事の狭間を越えて見つけた看護の続け方。社会医療法人高清会 香芝旭ヶ丘病院 垂門真由美看護部長インタビュー
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奈良県香芝市。二上山の麓に位置する香芝旭ヶ丘病院は、整形外科の名門として知られる。2026年5月、同院は「香芝高清会病院」へと名称を変え、新築移転という大きな転換期を迎える。

その激動の時を現場の指揮官として支えるのが、垂門真由美看護部長だ。垂門氏のキャリアは、決してエリート街道を行くものではなかった。准看護師からのスタート、30歳での正看護師取得、そして子育てとの葛藤。「安住」を求めて転職したはずが、気づけば手術室の最前線で16年を走り抜けていた。

飾らない言葉で語られるその半生には、キャリアに迷う看護師たちが「自分らしく働く」ためのヒントが詰まっている。

始まりは19歳。30歳での「再スタート」

垂門氏の看護師人生の幕開けは早い。19歳で准看護師として働き始め、7年間の実務経験を積んだ。しかし、そこで歩みは止まらなかった。「もっと深く、看護に関わりたい」30歳という節目で、垂門氏は再び学生に戻り、正看護師の免許を取得する。

キャリアの初期は、整形外科の外来や手術室、小児科病棟などで経験を重ねた。そんな垂門氏に転機が訪れたのは36歳の時。「子育てをしながら、もう少しゆっくり働ける環境を」と望んで選んだのが、現在の香芝旭ヶ丘病院だった。

だが、運命は皮肉である。「のんびり」を求めて入職したはずの垂門氏を待っていたのは、専門性の高い手術室での、16年にも及ぶ濃密な日々だった。「結局、ずっと仕事をしていたので、全くのんびりとした子育てはできませんでしたね」そう苦笑する垂門氏だが、その目はどこか誇らしげだ。

外来・オペ・病棟各管理者と垂門看護部長

プロフェッショナルの葛藤。「仕事と生活」の狭間で

仕事と家庭の両立。口で言うほど容易ではないその現実を、垂門氏は誰よりも知っていた。看護師という仕事は、時に患者の痛みや苦しみを自分のことのように感じてしまい、家に持ち帰ってしまうことがある。垂門氏自身、仕事とプライベートを切り分けることに苦労し、プロとしての厳しさに直面してきた。

「この仕事は、やりがいだけでは続けられない瞬間がある。それを知っているからこそ、スタッフには無理をさせたくないんです」

多くの看護師が20代後半から30代で直面する、ライフイベントとキャリアの板挟み。垂門氏は自身の経験から、その「壁」を乗り越えるためには、個人の努力だけでなく、組織としての受け皿が必要だと痛感していた。だからこそ今、管理職として「辞めるか、続けるか」の二択ではない、柔軟な働き方を模索し続けている。

看護とは「つなぐ」こと。手術室で培った矜持

香芝旭ヶ丘病院は整形外科領域の中でも、「脊椎・人工関節センター」という専門特化した手術を数多く手がけている。手術室出身の看護部長として、垂門氏が最も大切にしていること手術室出身の看護部長として、垂門氏が最も大切にしていることは何か。それは「つなぐ」という意識だ。

「看護は一人では完結しません。医師、他職種、そして患者様とご家族。その間に入り、人をつなぐことこそが看護師の最大の役割です」

特に手術室では、麻酔によって「痛い」「苦しい」と言えない患者の代弁者にならなければならない。言葉にできない声なき声を拾い上げ、チームに伝える。その繊細な配慮と覚悟が、同院の医療を支え看護実践の軸となっている。

2026年5月、新病院へ。「お互い様」で支え合う組織へ

現在、同院は来年の新築移転に向けた準備の真っ只中にある。「香芝高清会病院」として生まれ変わるその時を見据え、垂門氏は組織づくりに奔走している。

香芝旭ヶ丘病院-新病院イメージ1
香芝旭ヶ丘病院-新病院イメージ2

垂門氏が目指すのは、特定の誰かに負担が偏らない「お互い様」の組織だ。そのために導入したのが、部署間の「応援体制」と「ローテーション研修」である。自分の部署しか知らないままだと、他が忙しい時に手伝うことができない。業務を可視化し、互いの仕事を知ることで、組織全体で助け合う風土を育てている。

「私も子育て中は葛藤の連続でした。だからこそ、今のスタッフには、その時々の状況に合わせて働き方を変えられる環境を作りたい。細く長くでもいいから、看護師を続けてほしいんです」

新病院への移転はゴールではない。それは、次の世代が輝くためのステージ作りだ。「私の役割は、このバトンを次の世代へしっかりとつなぐこと。今の苦労も、将来『あそこで働いてよかった』とスタッフが思える病院にするための布石です」

30歳でリスタートを切ったかつての垂門氏のように、迷いながらも前へ進む看護師たちを、今日も温かく、そして力強く支え続けている。

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垂門真由美

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〒639-0265 奈良県香芝市上中839
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